この記事では「パワハラ上司への対策・具体的なアクションプラン」をご紹介します。
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パワハラの発生状況
厚労省が平成28年に行った調査によると「過去3年間にパワーハラスメントを受けたことがある」と回答した人は回答者の32.5%
「パワーハラスメントをしたと感じたり、したと指摘されたことがある」と回答した人は11.7%です。
上記の調査からわかることは「発生しているパワハラの約3分の2はパワハラをする人が自覚をしていない」ということです。
都道府県労働局等に設置された総合労働相談コーナーに寄せられる相談内容は「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は年々増加しており令和元年では87,570件にのぼります。
※上記の厚労省が行った調査の平成28年は70,917件で、そこから令和元年まで約1,7000件増加している
また、上記調査で「パワハラを受けた」と回答した人のうち約40.9%の人が「何もしなかった」というデータを踏まえると総合労働相談コーナーに寄せられていないケースがまだまだあると考察できます。
このように誰もがパワハラ遭遇してもおかしくない数のパワハラ被害が日々発生しています。
では実際にパワハラ被害に遭った場合どうしたらいいか見ていきましょう。
パワハラ上司の弱点を理解するためにパワハラに対する最低限の自衛の「パワハラを行う人の心理を知り精神的優位を保つ」も併せてご覧ください。
自分の意見を主張する
パワハラ上司は自分が攻撃することに慣れていますが抵抗される事には慣れていない場合が多く、毅然とした態度を取られると攻撃の頻度が下がる場合があります。
感情的な反論では火に油を注ぐことになるので、冷静に落ち着いて次の言葉を伝えてください。
「人格否定や怒鳴り声の指導は受けません」
冷静に真っ当な言葉を伝えることで、間接的に拒否の姿勢を示しつつ意見を主張する人間であると認識してもらい、次項の証拠集めを進めましょう。
証拠集め
第三者の介入(会社の人事・労務局・弁護士など)が必要な段階になったときのためにパワハラを立証できる証拠を集めましょう。
日記をつける
パワハラを受けた記録をつけましょう。
- ・いつ
- ・どこで
- ・何をされて
- ・どんな気持ちになったか
を記録します。
ボイスレコーダー・メールを残す
パワハラ発言のメールやチャットは画像として保存し、肉声は音声データとして記録するようにします。
精神的苦痛により精神的疾患を発症してしまった人は医師の診断書も用意しましょう。
ボイスレコーダーでの発言の確保が難しい場合はアプリ「パワハラのお守り」を検討してみてください。
スマホは持っていても自然で、尚且つ時間を遡って必要な音声データを確保できます。
15分遡れるプランは無料となっております。
周りを観察し仲間を探す
他にパワハラ被害を被ってる人を探します。
これはあなた自身の精神的負担を和らげることと、証人の確保につながります。
また第三者の介入の際も一人よりも仲間がいた方が心強いです。
ただし裏切って密告したりするような人がいないかは慎重に選択してください。
第三者への相談
状況が改善されず証拠が揃ったら第三者の介入を要請しましょう。
公的機関の労働局や厚生労働省総合労働相談コーナーに相談するか、社内の第三者に相談します。
公的機関への相談
各都道府県の労働局に設置されている雇用・環境均等部(室)では、パワハラに関する相談を受け付けています。
会社が所在している都道府県の労働局に直接行くか、電話で相談することができます。
相談後は労働局がパワハラの実態調査を行い、必要に応じて会社に「助言・指導」それでも解決しない場合は「紛争調整委員会へあっせん」による紛争の解決に移ります。
デメリットとしては
- ・解決まで時間がかかる可能性がある
- ・会社の外の組織が動くのであなたの評価に影響を及ぼす可能性がある
という点があるので、デメリットが気になる方は「公的機関への相談も辞さない」という姿勢で、下記の「パワハラ上司の上司に相談」「人事部や経営層への相談」をおすすめします。
どちらも万が一「提出した証拠を抹消される」という事がないよう証拠のコピーを提出するようにしましょう。
パワハラ上司の上司に相談
パワハラ上司の上司に相談するメリットは2つあります。
- 1、精神的にハードルが低い
- パワハラ上司は自己保身の欲求が強く、さらに上の上司からの評価に弱いので、あなたが直接パワハラ上司と対峙するよりもエネルギーが少なくて済みます。
- 2、先手を打っておく
- パワハラ上司がその上司にあなたのことを「特に愛情をかけて指導しているがなかなか頑張ってくれない。とても歯がゆく時には熱が入ってしまう。」というような報告をし、その後あなたが相談した際「それは愛情だよ」という的外れな認識にならないように先手を打っておいた方が堅実です。
相談された上司は真偽確認をしたいと思うので、予め用意しておいた証拠のコピーデータを提出し相談します。
中にはパワハラ上司の肩を持つ可能性もあるので、効果がない場合は更にその上の上司に相談するか次項の「人事部や経営層への相談」をしましょう。
人事部や経営層への相談
人事権を持っている人事部や経営層への相談をします。
まともな会社であれば証拠があり、パワハラ行為が確認できれば何か対応を行ってくれるはずです。
人事部であれば部署移動などでパワハラ上司から引き離したり、経営層であればパワハラ上司への指導などをもって解決をしてくれることが期待できますが、中には職場でのパワハラを隠蔽したり、パワハラ上司を守る方がメリットがあると判断する会社もあります。
もしもそのような会社であれば前述の「公的機関への相談」を検討してもいいかもしれません。
さらに公的機関の指導でも改善されない場合や、パワハラが原因で精神的疾患を発症したり退職をやむを得なくなった場合は弁護士に相談する流れになります。
あるいは今の会社に見切りをつけて新たな会社を探すという手もあります。
あなたが不遇な目に遭い、勇気を出して解決をしようとしても取り合わない会社はダメな会社です。
ダメな会社で働く人が存在する限り、ダメな会社は存続するという側面も存在します。
あなたの心が壊れる前に転職を検討した方が、少ない精神的疲労で快適な労働環境を手に入れれる場合もあります。
一つの目安として従業員人数が多い会社はパワハラ対策に取り組んでいる割合が高くなります。
それでもだめなら「環境を変える」
心が疲弊しているときは会社が全てに見えてしまう事もあるかもしれませんし
パワハラ上司がしかるべき報いを受けずに、あなたが転職をしないといけないのは納得いかないかもしれません。
ですがあなたの貴重な労働力や時間を紛争に費やしても、状況によっては紛争後に会社に居づらくなることも考えられます。
それよりもあなたを必要とし、あなたが幸せと思える会社を見つけることができれば、それが最高の復讐になるのではないでしょうか?