パワハラはなぜ起きる?パワハラする人の心理

コラム
パワハラをしている人の多くはパワハラをしている自覚がありません。
他のパワハラ話を聞くと「ひどい話・・・」と思う人もいます。

このように盲目的になる一方で、細分化しやすいパワハラを行う心理を解説するために

1「多くの攻撃者に見られる共通項目」
2「パワハラを行う心理的な属性」
3「攻撃者のタイプ&対策の方針」

をご紹介します。
ここでは「攻撃に至る根っこ」の心理に目を向けたいので
攻撃者が実際に攻撃に移るプロセスや最低限の自衛方法はこちらをご覧ください。

多くの攻撃者に見られる共通項目

パワハラをする人(攻撃者)の多くに

  • 自己承認欲求が低い
  • 自己中心的
  • プライベートなど、ほかに何か問題を抱えている
  • 嫉妬心が強い
  • (実は)気が小さい

という特徴が挙げられます。
こうした人が組織・部署の中で目に付いた人間に対し攻撃行動(パワハラ)にでます。

上記の項目は弱点として

  • 自分に対する価値を自分自身が認められていないため
  • 職場内での価値を脅かされることを恐れ
  • 自分より上からの評価に弱く
  • 自己の評価(精神的な支柱)を他者に委ねている

とも言い換えることができます。
また、攻撃者はターゲットのことを軽んじて評価(舐めている)しており

  • パワハラに気付かないような馬鹿だと侮っている
  • 「脅せばビビって従うだけ」と甘くみている

ので自分の都合のいいようにコントロールを仕掛けてきます。

それではこの性質を踏まえて各属性を見ていきましょう。

パワハラを行う心理的な属性

破滅属性
自分がパワハラを受けたから他にも不幸になってほしい状態
妄信属性
自己の考えややり方を正しいと信じたい状態
自己主張属性
自己の価値を認めてほしい
承認欲求は高いが、自己肯定感は低い状態
能力欠如属性
本来その業務を遂行する上での必須能力が足りていない
慢性的に自分の価値があるか不安ある状態
激昂属性
自己の感情を制御できず、それを取り下げる事も屈辱的に感じる
拳を簡単に振り上げるが置き方がわからない状態
名誉欲属性
注目や称賛を求めている状態
計画属性
社交的な面と暴力性をコントロールしており
良心の呵責より得る対価に魅力を感じている状態
愛情欠乏属性
幼少期に適切に愛情を与えられなかった結果、自分自身に自信が持てない状態

上記各属性は「このタイプはこの属性!」のような形ではなく、各属性がグラデーションのように混じり発露します。

パワハラをする人間のタイプ例

帝王タイプ

圧倒的な成功体験を持ち、その成功体験を信じて疑わない人で「こうすれば成功する」という矜持をもっているタイプです。
これは反社会的な考えや行動でなければ素晴らしいのですが、お客さんや組織内の人間に悪影響をもたらすのであれば話が別です。

その成功体験から高圧的・独善的で、周囲の人からは畏れの念を抱かれているため、ますます増長します。
さらなる名誉獲得のために周りの人を犠牲にする傾向があり、子分にあたる人に大きなノルマを課し、課された人は更にその下に無茶な要求をします。

トカゲのしっぽ切りが普遍的なコミュニティを形成する傾向があり、そのコミュニティは一部の人間の犠牲の上に成り立ちます。
自己主張がとにかく激しく、計算して暴力性を駆使します。

慢性的にパワハラ傾向がすが「黒いものでも白といえ」という考えがあり、自分に異を唱えるものに敵意を向きます。

【対策】
とにかく近づかない。
近づいてしまったら目を付けられない様に距離を置き、フェードアウトしましょう。
そこで昇格しても安寧の日々はありません。

権力信仰タイプ

人間関係より権力を至上とし「上司がいう事には従う」という事を信じきっているため、部下にもそれを求めます。
比較的優秀な人が多いのですが、コミュニケーション能力が低い傾向があり、「自分ができることは人ができて当たり前」という考えが強い一方
仕事を教えるのが下手(行動の言語化ができない・共感能力が低い)なので、より一層権力で人を動かす方向にシフトしパワハラ行動が顕現します。

プライドが高い反面、自分に対する愛情が持てないため権力・高価なアイテム・人を侍らすことで承認欲求を埋めようとします。

一方で、自分より上の顔色には人一倍敏感で、自己保身に走る傾向が強いので
逆境には弱く責任転嫁のような形で人を犠牲にしたり、「人間関係の切り離し」など陰湿な攻撃をします。

【対策】
権力信仰タイプの人の評価を落とすような行動は一発アウトです。
秩序を守りたいタイプなので礼儀正しく、仕事はきっちりしたうえで、機嫌が悪いときは距離を保ち、機嫌がいいときは人間性に興味を持ってあげると逆にかわいがってくれる場合があります。

キャパオーバータイプ

基本的にはいい人なのですがそれが仇となり、色んな人にいいように使われたり引き受けすぎた結果
自分のキャパ(容量)を超えてしまい余裕がなくなり、感情的になったり仕事の精細さを欠いてしまうタイプです。

このキャパオーバーが一時的なものであれば、負担をカバーすることで健全な状態に戻りますが
根本問題として「安請け合い」してしまう部分がある限り何度でも同じことが起こりえます。

キャパオーバーが慢性的になると(本当かどうかはともかく)物忘れが異常に多くなったり
指示が的確でなくなるなど、巻き込み事故的に迷惑を振りまきます。

またこの人自信も「過大な要求」というパワハラを受けているので、パワハラの連鎖に巻き込まれない様距離を保ちましょう。

【対策】
キャパオーバーが慢性的になっていない場合は、できる範囲で負担をカバーしてあげましょう。
指示がブレ出したら協力の申し出や「部下からメイン業務の脇が甘くなり始めてるという報告があった」というような”逃げれる言葉”を言わさせてあげましょう。

工作員タイプ

上司への顔作りがとてもうまくコミュニケーション能力が高い。
キーマンに取り入る謎の才能がある一方で、社内政治や噂話にとても敏感で人間関係にばかり気を取られている。

声のでかい人間に弱い傾向が強く、権力者にいい顔をするためなら割と平気で弱者を踏みにじる。
成果や正しさに興味は薄く、判断基準は上司の評価と「人気者感」を重視している。

自分の優位性を保ちたい・自分の思い通りにしたい欲求が強く
個人として攻撃する機会よりは、悪口での社内世論操作などに与する機会が多い。

行ってるパワハラ行為に気付けない人も多い暗殺系攻撃者。

【対策】
社内政治にどっぷり漬かってることが多いので色眼鏡を掛けてる可能性が高い。
適切な距離を保ち爽やかなコミュニケーションを心がけましょう。

カバートアグレッション(見えない攻撃性)タイプ

表面はいい人だが無意識(あるいは無意識風)に人を貶めるタイプ
工作員タイプよりはパワハラ行為が目立ちやすいが、それでも巧妙で責められない状況を作り出すのが上手い。

自分の優位性を保ちたいとう欲求が強く他人をコントロールしようとし、邪魔な存在に対しては攻撃を行います。

事実の中に嘘を入れて伝える・細かい部分をぼかした言い方をするなど、バレない嘘をつくのが上手で、責任逃れも上手です。

【対策】

できるだけ関わらない。
言動のディテールをはっきりとさせる。
相手の目的を探る(第三者から見るとまるわかりだったりします)

もしターゲットにされたら「カバートアグレッションという言葉しってる?」のような言葉で構造を理解していることをさりげなく気づかせる。

職人気質タイプ

職人であることは悪いこともありません。
特定の職業には必要ですらあります。

ですがそれも行き過ぎると「仕事を教えない」「暴力的な対応」などが目立つようになります。
多くの職場は共同作業なので上記のような行動は不和をもたらします。

またこの人の知識量、仕事量が素晴らしく尊敬に値する物であれば結構ですが、能力が及第点に至っていない場合や現代の流れに乗れていない場合はかなり厄介な人物となります。

「こんなことできて当たり前」「何回聞くんだ」という気持ちが強く、言動や溜め息などの態度に現れます。

【対策】

可能な範囲でスキルの習得に勤しみましょう。
このタイプは自己承認欲求が強いですが、話を聞いてくれる人は稀有です。

こだわりをもってる領域を理解できるようになれば意気投合できる可能性はありますが、次は見解の違いで対立する危険性もあるのであまり踏み込みすぎないようにしましょう。

怠惰タイプ

なんの間違えか分不相応なポジションにいる割には自己研鑽を行いません。
背景には責任転嫁や他人の手柄を横取りした可能性があります。

一度高いポジションの味を覚えてしまいましたが
業務遂行能力が足りていないので仕事を部下や後輩に丸投げします。
指示も曖昧で進捗の管理・フォローも行わず、間に合わない段階になって感情的になったりします。

自己保身のためなら平気で嘘もつきます。

【対策】
同僚とスクラムを組み圧をかけ仕事をしてもらいましょう。
どうしてもひどいようでしたら証拠を揃えもう一段階上の上司に相談しましょう。

情報独り占めタイプ

社内でのポジションを死守するために情報やノウハウを自分で抱え、必要とされることで承認欲求を満たします。
社交的で忙しくしてる姿をよく見ますが、実態としては「仕事の全体像と段階的な言語化」「ノウハウの共有」が苦手だったり面倒なようです。

仕事を分担することが価値を脅かすことにつながるので、このタイプに指示を仰ぐ人は苦労を強いられます。

【対策】
あまり追い詰めると「迷惑を掛けよう」と思われてしまうと、引継ぎをしっかりとしないで退職してしまいます。
存在自体を承認してあげつつ、マニュアル化を進め情報のブラックボックス化を回避しましょう。

あら捜し探偵タイプ

人の粗探しが得意で、人の長所よりも短所を見つけることが大好きで、常に人の欠点を探しています。
自分の優位性を演出するために、人の悪い部分を小出しにすることもあります。

自分の短所は棚に上げ人のあら捜しに苦心しています。
粘着質な性格をしており、過去のことをくどくどと掘り返します。

【対策】
可能であればですが、いいところを見つけ人間性を承認しつつ、あまり粘着質なのは嫌がられることを遠回しに気付かせてあげましょう。

完全成果至上タイプ

売り上げや成果を至上とし、人間関係などのコミュニケーションの大切さを軽んじています。
また、部下の仕事の細部の細部まで細かく文句をつけてくることがあります。
自分の求める数字、質、スピードを他人に押し付け、僅かなミスも許しません。

“人”をまったく見ず成果のみを重視し、部下が成長するような行動をとる意識がないため、成長を促す言葉や行動をあまりせず、不足した部分を執拗に指摘します。

また「部下を信頼する」というような考えを持っておらず監視の目を絶やしません。

一方で大きな成果を遂げた時は過剰に称賛を求めるような幼稚な部分があったり
部下が自分より成果を出すことに異様に嫉妬心をもつ側面もあります。

【対策】
いい加減・適当・不真面目を嫌うので指示内容は集中して聞き、指示内容を明確にして確認し、作業中は集中(してるふりでも可)しましょう。
また、別の適切な手法があっても直接話すのはNGで、可能であれば部署内でのガイドラインを作成し「する事・しなくてもいい事」を明確化し、それでも「余計な一言」が続くようであればさらに上の上司に相談しましょう。

コンプレックスタイプ

暴力・暴言などは人に対し「自分を強く見せようとした結果」です。
コンプレックスが原因で「舐められたくない」「言うことを聞かせたい」という承認欲求が強すぎて、弱点を悟られない様、強く出すぎてしまいパワハラ行為になってしまうパターンです。

コンプレックスは人であれば程度の差こそあれ持っているものですが、それを仕事の場で八つ当たり的に権力を振り回すのはいただけません。
仮にパワハラで一時気が紛れてもコンプレックスの根っこの部分とは質が違うので虚無感は埋まらず、「人を動かした」という快楽と相まってエスカレートする傾向があります。
本人はコンプレックスに気付けてない場合が多いですが周りにはうっすらと感じる歪さがあります。

「自分をよく見せたい」「自分の地位や名誉を守りたい」とい欲求が強い反面、ビジネス面での戦闘能力は高くないケースが多いので
多くの人の前でプライドを傷つけられてしまうと自分ではコントロールできないくらい感情的になります。

「能力のある人は自然と部下の信頼を集められ、人が動いてくれる」という節理を無視し、あまつさえ嫉妬をして

  • 仕事できますオーラを出しているが
  • 仕事は並かそれ以下で
  • 自分より立場の弱い人だけを攻撃する

という行動にでます。

【対策】
適切な距離を保ちましょう。
意見をするときは人前は避けましょう。

根性論タイプ

「目標を達成できないのは努力が足りないから」という信念を持ち、適切なアプローチや計画などの概念を持ちません。
『根性論』ですべてが解決できると思いこんでおり「気合いが足りない」「死ぬ気でやれ」という言葉を好みます。

現在40代半ば~の年代の人が学生だった時代は、親・学校の先生・部活の顧問から同じような言葉を言われて育ったので部下にも同じような言葉を発します。
(現在日本ではあまり見なくなった「うさぎ跳び」「体罰教育」「部活中の給水禁止」も横行していた時代でした)

年功序列が染み付いており、年長者への意見は(たとえ部下の意見が正しくても)「楯突いた」「歯向かってきた」と捉えてしまいます。
自分に楯突いてきた部下に対して、嫌がらせのように面倒な仕事を押し付け「仕事が遅い」「責任感が足りない」と難癖をつけてきます。

【対策】

高齢になればなるほど意識の改革は期待できなくなります。
またこのタイプはパワハラ行為が社会に横行していた時代に価値観が形成されているので「なにがパワハラか、なぜパワハラか」がわからない人も少なくはありません。

現代にない価値を学ぶいい機会でもあり、うまく取り入れることができれば人間性の向上につながりますが
「パワハラ=愛の鞭」と変換されるシステムがあるのでどうしても相性が悪い場合は人事に相談しましょう。

朝令暮改タイプ

「朝に命令を出して夕方それを変えること。法令が出てもすぐあとから改められて、あてにならないこと。」
これを朝令暮改といいます。

部長や課長のようなクラスより経営陣レベルの人間に多く、朝令暮改がおおい会社で働いてる人は「振り回されてる感」が強くなり指揮が低下します。
経営上の方針転換は必ずしも悪ではありませんが、問題はその「頻度」「一回の方向転換にかかるコスト」「指示がでるプロセス」です。

情報が変われば判断も変わりますが、朝令暮改が恒常化している組織では

  • ある指示において必要な情報を集める能力が乏しく
  • 十分に議論されていない段階で転がり始める
  • またはコンセプトがブレている
  • 結果として何かに手を出すがすぐに方針が変わる

という事になります。

一般社員が異を唱えようとしても「会社に歯向かう構造」になってしまうので結構なエネルギーが必要となります。

【対策】

事業内容があなたの成長につながる場合は割り切って振り回されるのも一手です。
ずっとその会社にいればいいという訳ではなく、対応力や生産性が上がったらあなた価値は向上しているので転職の際有利になります。

方向転換の度にちゃぶ台返しを食らっているとモチベーションが下がり、無意識に手を抜いて仕事をした結果あなたの能力が鈍化し
市場価値が下がる可能性があるので転職を選択肢に入れてもいいかもしれません。

伝書鳩丸投げタイプ

上司からの指示をそのまま部下に丸投げし、ろくな指示やマネジメントをしないタイプです。
自分は簡単な仕事や得意な仕事ばかりを選び、面倒な仕事は部下に押し付ける他力本願な上司です。

仕事をの分担するのは組織内では当然ですが、合理的な範囲を超えて身勝手な言い訳をしては自分の仕事や面倒な仕事ばかり部下に押し付けます。

構造的には業務の遂行能力が低く、指示できるマネジメント能力も不足しているが、業務を回さないといけないため部下に任せているが
立場が下の物に教えを乞う器もなければ、隠れた努力もしない怠惰な人間です。

プライドが高いためトラブルが起こった際も「失敗はすべて部下のせい」という他責思考で
自分の指示が適切でないことを棚に上げ部下に責任を擦り付けます。

ではなぜこのような人間が昇進するのでしょうか?
それは部下が頑張った成果を「指示・指導が良かった」「チーム一丸となって取り組んだ成果」などと
上司に吹聴し、評価を横取りすることに長けているからなのです。

【対策】

上司の指示が

  • 全体像が見えていない節がある
  • 指示があいまいであったり
  • 丸投げ感がある仕事の回し方が
  • 恒常化している

ならばその上司の元で働いてもあなたの成果が横取りされかねません。
適切な評価システムがない、または上司が改ざん・吹聴可能な場合は部署の移動や転職をオススメします。

まとめ

多くのパワハラのタイプをご紹介しましたが上記はあくまで一例です。
属性がグラデーションのように入り混じり多様なタイプに細分化されます。
冷静に観察して参考にしてもらい、パワハラ行為の証拠は残しておきましょう。

いずれのタイプも

  • あなたのことをなめており
  • 自分の都合のいいようにコントロールするために
  • 暴言や人間関係を利用するが
  • 攻撃者自信もパワハラの連鎖に組み込まれており
  • 心が弱い人間が多く
  • 満たされない承認欲求と向き合わず
  • 八つ当たり的な権力を背景にした嫌がらせでその場をしのいでいるが
  • エスカレートしていくため自信が見えなくなっているが
  • 今の立場は失いたくない

という傾向があり、一見まともな対応をする攻撃者程「きちんと能力のある人格者に憧れる」一方で歪な精神構造になっています。

こんなものに付き合ってるのはあなたの健康に良くないので、転職や人事に相談し、距離を置くのがベストですが
どうしても付き合っていかないといけない環境の場合は攻める対策を紹介した
【パワハラされにくい人から学ぶ】パワハラ上司と付き合わないといけない場面での対策
を参考にしてみてください。

リリース日は未定です。

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